佐藤農園:秋の生育メモ(独り言)

雨の匂いが残る朝の田んぼ。
濡れた葉の上を風がすべっていくたび、稲がゆっくり揺れる。
収穫まであと30日。 穂はいい色になってきた。

ここまで順調に来たのに、台風だけはどうにもならない。
空の向こうで何かが動いている気配がして、落ち着かない。
倒れずにいてくれよ。そう心の中で、何度もつぶやく。

白菜は、お盆にまいたものがすぐに芽を出した。
あの小さな双葉を見ると、毎回ちょっと嬉しくなる。
もうすぐ畑へ移す。風に揺れる姿が、もう目に浮かぶ。

大根は、直播きから5日で発芽。
土の割れ目から白い芽が顔を出す瞬間は、何度見ても飽きない。

きゅうりといんげんは、もう畑で落ち着いている。
特に、いんげん。俺の季節到来とばかり、やけに元気。

カボチャは、秋用に二度目の種まきをしたものを、今植えているところ。
この時期のカボチャは、なんだか急ぎ足で季節に追いつこうとしているように見える。

9月はネギ、小松菜、春菊、かき菜、玉ねぎを撒く。
10月になれば、さやえんどう、ほうれん草を撒く。

こうして並べてみると、秋は静かに忙しい。

でも、種をまくたびに、季節の手触りが変わっていくのが好きだ。
畑が少しずつ、秋の色に寄っていく。

さつまいもと里芋は、収穫は、まだ先だ。
土の中でどんな顔をしているのか、掘るまでわからない。
それがまたいい。

にんじんとネギは、食べる分だけ、その都度抜く。
必要なぶんだけ。今日のぶんだけ。

畑にはいつも、育つものと、終わりを迎えるものが同時に並んでいる。

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