2026年8月、農林水産省が公表した数字は「37%」。カロリーベースで前年度からさらに下がり、ついに過去最低を更新した。
1965年度に73%あった自給率は、この60年あまりで36ポイント低下した。食生活の変化とともに下がり続け、今や37%。危機感は何度も語られてきたはずなのに、私たちは悪化の一途をただ見過ごしてきた。
そして「37%」。
この数字を聞いて、背筋が伸びる日本人がどれほどいるだろう。
安全や国産への敬意よりも、1円でも安い外国産を追い求めてきた私たち。その積み重ねが今の現在地だとしたら、まず考え直すべきは私たち自身ではないか。
自給率低下の大きな要因は、主食「米」を食べなくなったこと
米は今なお、ほぼ100%を国内で賄える数少ない食料だ。
しかし、1人当たりの年間消費量は、ピーク時の118.3kg(1962年度)から、近年では50kg台へと半分以下に落ち込んだ。
一方で、肉・乳製品・小麦・油脂など、海外依存度の高い品目が食卓の主役になった。
私たちの食卓が変わった。
その結果、日本の食料自給率も下がってきた。
だが、問題はそれだけではない。数字の裏には、もっと深い「脆さ」が潜んでいる。
“国産”のはずの農産物も、実は外国に支えられている
化学肥料の原料の大部分は海外に依存している。野菜の種子に至っては、約9割が海外で採種されたものだ。
国産の農産物であっても、その生産を支えている肥料、種子、飼料、燃料などをたどれば、海外につながっている。
世界情勢の悪化や円安、物流の混乱が起これば、日本の農業も大きな影響を受ける。
つまり、37%という数字だけでは、日本の本当の脆さは見えてこない。
中山間地の農地は「効率」では測れない価値を持つ
戦後、私たちの食生活は大きく変わった。学校給食などを通じてパン食が広がり、その後、食生活の洋風化が進んだ。
その一方で、農業者の高齢化と担い手不足が進み、農地の維持も難しくなっている。
特に中山間地域では、傾斜地が多く、大規模化や機械化が平地ほど容易ではない。そこに人口減少と高齢化が重なっている。
平地の大規模水田は、これからの生産効率を支える大きな柱だ。効率化も必要である。
しかし同時に、中山間地の小さな田んぼや棚田にも、代えがたい意味がある。
農地を維持することで、水源の涵養、洪水や土砂崩れの防止、景観の保全など、多面的な機能が発揮される。
どちらか一方ではない。
平地の大規模農業と、中山間地の小規模農業。
その両方を守ることが、日本の食料基盤を支える。
答えは、難しくない。国産を選ぶこと。足元の農地を支えること。
そこから始めるしかない。
土に触れ、田んぼに立つたび、私は強くそう思う。
国を守るということは、案外、遠いところにある話ではない。
今日、何を食べるか。
その一食も、日本の農業を支えている。
そして、その一食の先に、日本の食料安全保障がある。